NPO法人すぎなみ環境ネットワーク

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事例2)「ヤゴ救出大作戦」~杉並区内小中学校の取り組みより

ヤゴ救出大作戦とは

 ヤゴ救出大作戦とは、屋外にある学校のプールで繁殖したトンボの幼虫(ヤゴと言います)が、プール開き直前の清掃によって排水口から流されてしまわないようプールから救い出す活動をいいます。 市街地では都市化が一層進み、田んぼやため池などの水辺の空間が減っています。そんな中で、学校のプールは多くの水生生物が生息する貴重な空間であり、子どもたちが身近な生き物に直接触れることができる環境学習の場として活用されています。
 杉並区ではこの活動は2000年度から始まり、2004年度にはこれまでで最多の36校(区内全小中学校の約55 %)が何らかの形で参加しました。それ以降も毎年、区内の小中学校が多数参加しています。(2024年度15校)

ヤゴ救出大作戦サポートの流れ

 救出活動当日だけではなく、以下の数段階にわたり、大勢のメンバーの協力の下に行われます。

1)ヤゴ救出講座

 毎年5月頃に開催されます。これは、学校の先生、環境学習支援者、本活動に興味を持った方々を対象とした講座です。ヤゴ救出活動の具体的な進め方の紹介と併せて、同じ時期に集中するヤゴ救出の実施日とサポートするメンバーの日程調整を行います。2024年は、5月14日に環境活動推進センターにて実施されました。

2)事前学習

 「総合的な学習(探求)の時間」の一環として実施するときは、事前授業を行い、子どもたちはプールという閉鎖された水中の自然、立地環境、プールに生息する生きものについて学びます。 たとえば紙芝居やパワーポイント等を用い、小学生にも分かりやすく、ヤゴ救出大作戦がなぜ有意義なのかを理解できるように授業を行います。

3)ヤゴ救出大作戦

 5月末から6月上・中旬にかけて、プール開きの直前期に実施します。
事前にプールの水位を下げて、膝下ぐらいの深さにします。子どもたちが手網を持ちプールに入り、プールの底をすくいます。環境学習サポーターたちはプールの中に入ったり、プールサイドでヤゴの種類や数のカウントのサポートを行います。 保護者や先生方は子どもたちの安全を見守りながら、子どもたちがヤゴやほかの水生昆虫を見つけ、触って、数えて、子どもたちの歓声があふれる時間が見られます。

*ヤゴ救出活動実績:
2003/ 2004/ 2005/ 2006/ 2007/ 2008/ 2009/ 2010/ 2012/ 2013/ 2014/ 2015/ 2016/ 2017/ 2018/ 2019/ 2021/2022/ 2023/ 2024
(2003~2008データ:すぎなみ環境カエルくらぶ、
 2009以降のデータ:すぎなみ環境ネットワークが監修、除2011、2020年度データ)

*これらのデータを、研究授業・学会発表・原著論文・紀要等の目的で利用される場合は、出典を明らかにすると共に、電話・メールにて事務局へのご一報をお願いいたします。無断での転載・利用はご遠慮ください。

*本活動において、実際のカウントや集計は子供たち自身の手により行われています。正確性についてはあくまで目安としてお考えください。

4)飼育・観察授業

 その後、ヤゴを飼うことで、トンボに羽化するという生きものの不思議に触れて学んでもらいます。


5)翌年に向けたヤゴフロート製作

 ヤゴフロートとは、産卵場所を求めて飛来するトンボのうち、直接水面に産卵しない種(植物組織内産卵を行うギンヤンマやイトトンボの仲間)をプールに呼ぶための仕掛けです。9月になり、プールの授業が終了した直後に次年度のヤゴ救出大作戦のために製作してプールに設置し、翌年のプール開きを待ちます。

杉並区立井荻小学校 (ECOネット東京62>環境レポート)
杉並区立杉並第一小学校 (ECOネット東京62>環境レポート)