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活動レポート

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さあ!東京の里山へ ~檜原村を訪ね昔の循環型社会から今の生活を考える~(全2回講座・2回目)

開催日時:令和3年12月5日(日) 午前9時~午後4時

開催場所:檜原村藤倉地区

講  師:特定非営利活動法人さとやま学校・東京 代表 川上 玲子 氏

参加人数:10名

 

いよいよ檜原村を訪れる日となりました。 JR武蔵五日市駅に朝9時に集合。 早朝に自宅を出発した方もおられて、皆さん無事に定刻通り集まりました。

天気は快晴。 無風。 絶好の見学日和です。 駅前にある路線バス停には、山里を訪れようと、既に多くの方が列を作って待っていました。 私たちは駅からマイクロバスで一路藤倉地区を目指します。 車に乗ること30分、路線バスの終点停留所も通り過ぎました。 藤倉地区を目指し、更に先へと進みます。 (普及啓発委員S.K)

 

※1回目の活動レポートはこちら

「モノレール」で、いざ、小林家住宅へ

狭い道を更にバスに乗ること10分。 小林家住宅に向かう「モノレール」乗り場に到着。 抜けるような青空と、美味しい空気が最高です。 ここから先は道路はありません。 急峻な山肌を這うレールが敷かれ、その上を地元の方が運転する9人乗り自走車両が、ゆっくり登っていきます。 2グループに分かれ順番に乗り込みました。 急傾斜を登りながら、「ジェットコースターの登り坂みたい」と、感嘆する人も。 モノレールの両脇を見ると、山中のあちこちに人が立っています。 地元の伝統的な猟である巻き狩りが行われている日で、ハンター18人が参加していました。

小林家住宅を見学

モノレールに乗ること10分ほどで、小林家住宅のすぐ横に到着。 小林家は標高約750メートル、陣馬尾根と呼ばれる尾根筋の上に建てられています。 かつては盛んに行われていた木炭製造、尾根道を使った運搬作業などを考えると、合理的な立地だったのでしょう。

建物は昭和53年1月に国の重要文化財に指定され、その後の保存修理事業を経て、現在は建物を活用した地域活性化拠点にもなっています。 囲炉裏の煤で黒光りしている天井の頑丈な梁や、広間や台所など、山岳民家で営まれた生活が目に浮かびます。 ただ、説明頂いた地元の方からは、冬季の通学の大変さなど、山間での暮らしの厳しさも教えて頂きました。

田倉家でお饅頭づくり体験

小林家住宅から、さらに徒歩で登ること10分、田倉家に到着しました。台所と庭をお借りして、講師の川上さんのご指導の下、さとやま学校で栽培した小麦粉を使ったお饅頭作り体験を。コツは、全粒粉の練り生地を掌で薄く延ばし、中にあんこを入れて上手に包み込むこと。 そして、生地の縁辺部の厚みを薄く仕上げること。皮を丸く延ばすのが、実はなかなか難しいことが分かりました。 一人二個ずつ、全員でワイワイ言いながら何とか完成しました。

田倉家ご当主のお話を伺う

お饅頭を蒸かす間に、それぞれが持参のお弁当を開けて昼食タイム。 さとやま学校の方から、さつま芋の茎を使った煮物の差し入れも頂きました。 快晴の下、遠くの山や峰もくっきりと見晴らせる、素晴らしい時間を皆で共有できました。 お饅頭も出来上がり、地元産小麦粉の皮の味が濃くて美味しい。

一息ついたあと、川上さんの司会により、昔の藤倉地区の暮らしぶりについて、田倉さんからお話を伺いました。 田倉さんは80歳代ですが、とてもお元気そうで、若い頃の炭焼き作業の大変さ、小学生の時の通学の思い出など、当時の山里生活の様子をありのままに語って下さいました。 自給自足に近い山里暮らしが故のご労苦もあったことを理解できました。

山里の風景を後に、帰途へ

田倉家のすぐ近く、杉の大木の根元から水が湧き出ていました。 高い尾根の辺りで水が湧くことも驚きでした。 川上さんの案内で、汲み取って飲んでみると柔らかな口当たりです。 これもきっと山の恵みなのでしょう。

私たちのお饅頭づくりの間、田倉さんは自宅前の急斜面にある柚子の樹にするすると登って、私たちのお土産にと、籠いっぱいの柚子を採っておいて下さいました。 田倉さんの、生活に根差した貴重なお話を伺ったあと、メンバーはそれぞれに田倉さんへお別れのご挨拶をしながら、一人何個もの柚子を頂戴しました。 檜原村の香りと思い出をリュックに詰めて、下りのモノレールに乗り、充実の一日を振り返りながら帰途につきました。


※田倉家へ

※檜原村で栽培された小麦


※蒸しあがったお饅頭

※田倉家からの眺め