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活動レポート

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かんきょう講演会「未来のために知っておきたい海とプラスチックの話」

※分布地図
 世界の海を浮遊するマイクロプラスチックの濃度。日本の近海は、世界の平均の27倍の濃度でマイクロプラスチックが漂っている。
※グラフ
 2010年には世界の海に800万トン/年(中央値)のプラスチックごみが流入していると試算され、10年で10倍のペースで増えている。

開催日時:令和元年11月26日(火)
     ①午後1時15分~午後2時45分 講演会
     ②午後3時~午後4時 清掃工場見学
開催場所:杉並清掃工場 見学説明室
講師:大阪商業大学公共学部 准教授
   原田 禎夫 氏
参加人数:75名

近年、急速に深刻化している海のプラスチック汚染、海ごみ研究をめぐる最新の動向や、各国で始まっている対策をわかりやすく紹介いただきました。
多くのグラフなどのデータ、プラごみで命を落としたアホウドリの動画など、興味深い内容でした。
また、講師地元の保津川や淀川水系をフィールドに川の文化の再生と伝承への取り組みも見せていただきました。
講演終了後、会場の杉並清掃工場を見学しました。
今、廃棄プラスチックへの関心が高く、多くの参加者がありました。


>※講演会の案内チラシ

日本のリサイクル状況

PETボトルリサイクルの内訳(2016年)

国内でのPETボトルリサイクルは半分程度。
国内でのリサイクルもサーマルが中心なので、温暖化への影響も考えられる。

【写真資料の説明(講師より)】2016年のPETボトルリサイクルの内訳
リサイクルされていると思われていたPETボトルだが、実は大きく海外に依存していた。
国内リサイクル体制の構築だけではなく、根本から使用量そのものを減らすことが必要だ。


PETボトルリサイクルの残り半分は海外への輸出

日本から海外への廃プラ輸出

海外への廃プラ輸出が最も多い国は日本というデータが示されました(2018年度)。
昨今、中国をはじめアジアの国々が輸入を禁止しました。今や、「リサイクル」を考え直す必要があります。
対策として、新素材の開発、生分解プラ、バイオプラなどの利用も考えられているが、プラスチックを使わない選択もある。生分解プラ、バイオプラ使用禁止の国も出てきている。代替えはいろいろある、と力強く話されました。

【写真資料の説明(講師より)】日本から海外への廃プラ輸出
2017年末に中国が廃プラスチックの輸入を停止するまで、プラごみの大半は中国に輸出されていた。東南アジア諸国も廃プラスチックの輸入規制に動く中、海外に依存した日本のリサイクルは大きな曲がり角を迎えている。


淀川流域河川ごみ調査

調査マップ

淀川流域河川ごみ、保津川の漂着ごみの構成、大阪湾のビニルごみによる漁業被害、と多くのゴミ調査の結果を見せていただきました。
やはり、レジ袋が多いとのことです。
脱プラは、パリ協定「2℃目標」達成に基本的に関わります。
化石燃料の利用が制限されるから使えなくなるわけです。海洋汚染だけの問題ではない、わかりました。
“Circular Economy“の一端に、積極的に加わりたいと思います。

【写真資料の説明(講師より)】冠島の調査結果
日本海・若狭湾に浮かぶ無人島でオオミズナギドリの繁殖地であることから天然記念物に
指定されている冠島での漂着ペットボトルの調査結果。日本製のものが大半を占めていた。


講演会の後は清掃工場を見学

工場内には、足湯と東京ごみ戦争歴史みらい館もあります。

2017年に建て替えが完了した「杉並清掃工場」の見学に41名が参加しました。
説明員のお話を聞きながら、実際に動いているごみクレーンなどを間近に見ることができました。